レジリエンスを高めるためには?

レジリエンスを高めるためには?

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 こんにちは!へびぺんです。今日は「レジリエンスを高めるためには」というテーマで記事を書いていきたいと思います。

 というのも、前回の投稿で紹介したレジリエンス診断 をやってくださった方は、「どうすればレジリエンスは向上するの?」という点にご興味をお持ちになったと思うからです。

 そこで今回は、

  • 「認知の歪み」に気づく
  • 引き算思考でなく足し算思考を
  • 「あえて」楽観する

 という3つの観点から、レジリエンスの高め方について書いていきたいと思います。

「認知の歪み」に気づく

「認知の歪み」とは

 皆さんは「認知の歪み」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 端的に説明すれば、認知の歪みとは現実を非合理的、かつマイナス方向に捉えてしまう認知の傾向のことを指しています。

 例えば、仕事でミスをしたときに、「あぁ、自分はいつもミスをしてばかりだ。これじゃあお先真っ暗だ。」と考えてしまったとしましょう。 このような考え方の中に認知の歪みが隠れています。

 まず、「いつも」と言っていますが、本当に「いつも」なわけではありません。 何もミスをしない日もあるでしょうし、それどころかとてもよい仕事ができた日もあるはずです。

 また、別にミスをしたからといって、即座にお先真っ暗になるほど社会は厳しくないはずです。 ミスは反省し、次に上手くできれば周りの人は良しとしてくれるでしょう。

 この認知の歪みにはいくつかの種類があるのですが、細かい分類が気になる方は、 wikipedia を読んでみてください。

 ちなみに、「仕事中のミスへの捉え方」の例を「認知の歪み」の分類に当てはめると、一度の失敗があたかも常に起こっているように思い込んでいるという点で行き過ぎた一般化 をしていて、また、将来を必要以上に悲観しているという点で拡大解釈をしてしまっていると言えそうですね。

「認知の歪み」はレジリエンスを低下させる

 さて、話をレジリエンスに戻しましょう。

 レジリエンスの定義を簡単に「逆境に立ち向かう力、また失敗から立ち直る力」としましょう。 仮に自分の認識が「認知の歪み」の影響を受けていると、逆境に立ち向かうことも、失敗から立ち直ることも難しくなります。

 具体的には、「認知の歪み」の影響下では、逆境を必要以上に恐ろしいもののように解釈し、逆境に立ち向かおうという気持ちになりにくくなります。 また、一度の失敗を拡大解釈し、二度と立ち直れないと思い込んでしまうことが起こりうるのです。

 そのため、レジリエンスを高めるためには、「認知の歪み」から脱することが重要になってきます。

「認知の歪み」の改善方法

 認知行動療法(CBT)という分野では、「認知の歪み」の改善を支援すべく様々な方法が考えられています。

 例えば、wikipediaでも名前が出てくるバーンズ先生の本[1]では、トリプルカラム法という方法が提唱されています。

 この方法は、現実に起こったことそれに対する自分の認識の仕方より合理的な解釈方法、という3要素を紙に書き出すというものです。 目的は、自分の考えを可視化することによって、自分の思考傾向についての気づきを得させることです(メタ認知ですね)。

 また、専門家とのカウンセリングも「認知の歪み」を改善する上で有用な機会となるでしょう。トリプルカラム法は、自力のみの分析という点で限界があると言えます。

 知り合いのカウンセラーに聞いた話によれば、認知の歪みが強い人は、トリプルカラム法で認知の歪みを強化してしまうことすらあるようです。 (合理的な解釈の欄にとても非合理的な解釈を書いてしまうとのこと。)

 第三者(それもプロ)の視点があれば、より効果的に自らの認知の歪みを見つけることができるでしょう。

 「認知の歪み」の改善方法についての話は重要であり、十分な調査をした上で改めてブログで取り上げたいと思っています。

引き算思考でなく足し算思考を

引き算思考と足し算思考とは

 次に、引き算思考ではなく足し算思考をという観点からレジリエンスを高める方法をご紹介します。
さて、ここで唐突に出現した引き算思考足し算思考という用語について、少し説明をさせていただきます。

 まず、ここでの引き算思考、足し算思考とは、両方とも自己評価についての考え方のことを意味しています。

 引き算思考は、完璧な自分(理想像)というものが評価の基準にあり、なにかやらかす度に自己評価が下がっていくような考え方のことを意味しています。

 一方足し算思考は、現状の能力に基づいたありのままの自分が評価の基準にあり、何か上手くできるたびに自己評価が上がっていくような考え方のことを意味しています。

引き算思考の問題点

 レジリエンスを高める上では引き算思考を極力抑え、足し算思考をすることが効果的です。

 では、なぜ引き算思考は問題なのでしょうか?答えは、先程ご紹介した「認知の歪み」の中にあります。 引き算思考は、「自分を完璧なものだと仮定する」、及び「ものごとの悪い側面ばかりに着目する」という二つの点に問題があります。

 「自分を完璧なものだと仮定する」という考え方は、(こうあるべきだという考え方が強いという意味で)「〜すべき思考」をしていると言えます。

 また、「ものごとの悪い側面ばかりに着目する」という考え方は、「マイナス化思考」に該当します。すなわち、いずれの考え方の中にも「認知の歪み」が存在しているのです。

 先述したとおり、「認知の歪み」はレジリエンスを低下させてしまうため、引き算思考は問題と言えるのです。

足し算思考のメリット

 では、足し算思考をするメリットとはなんなのでしょうか?引き算思考をするのが良くないから、消去法で足し算思考をすべきということでしょうか? 実は、足し算思考そのものにも、レジリエンスを高める大いなる効果があるのです。

 足し算思考が良い理由を簡潔に書くと、自己効力感を高めるからです。自己効力感とは、Bandura.A が著した『Self-efficacy: The exercise of control』にて、「個人の行動遂行能力に対する確信の程度」と定義されています[2]。ちょっと雑な言い換えになってしまいますが、「自信」ということでしょう。

 足し算思考は、ちょっとした成功をするたびに自己評価が上がっていく考え方ですので、自己効力感を高めることにつながります。

 さて、ここまで足し算思考は自己効力感を高めるから良いと主張してきましたが、そもそも自己効力感を高めることが、レジリエンス向上につながるのでしょうか?

 おそらく、つながると言えるでしょう。根拠として、学術的な研究成果を挙げられます。 米国における、高校生を対象にした実験では、自己効力感とレジリエンスの間には高い相関があることが示唆されています。[3]

 これは、「自分にはできる」という考え方を持っていれば、逆境にもへこたれにくいという直感的な考え方にも沿った見解ですね。

「あえて」楽観する

楽観主義への反発

 最後に、レジリエンスを高める方法の提案として、「あえて」楽観するという内容を書きたいと思います。

 「あえて」と書いたのは、楽観主義という考え方に反感を持つ方がきっと多くいると思ったからです。 なにせ、私自身も楽観主義に対してはかなりの反感を抱いていました。

 しんどいときに無神経に「ポジティブになれよ」と言われると、控えめに言っても腹が立ちますよね。私なんかはうっかり放送禁止用語を使ってしまいそうです。 そんな私がなぜ楽観を提案するのかという理由を次の項目で書きたいと思います。

私の考え方を変えたアランの言葉

 上述の通り、私は楽観主義が好きになれませんでした。しかし、ある時アランという哲学者が書いた『幸福論』という本を読み考え方が変わったのです。 そこには、「悲観主義は気分であり、楽観主義は意思である」[4]という内容が書かれていました。

 私はこれを読んだときにハッとしました。「楽観主義は単なる能天気なのではなく、幸福になろうとする努力なのだ」ということに気がついたためです。 そのため、楽観主義に気に食わない点があっても、「あえて」楽観主義をしようと思ったのです。

 逆境に直面したとき、まず「困難を乗り切ろう」という意思を持つことは、レジリエンスの基礎をなしています。 レジリエンスを高める上で、楽観思考を取り入れることは重要だと思うのです。

 だいぶ長い記事になってしまいましたが、ここまでご覧いただきありがとうございました。

参考文献

[1]

デビット・D・バーンズ (2005) 『いやな気分よさようなら』 星和書店.

[2]

江本リナ (2000) 『自己効力感の概念分析』日本看護科学会誌.

[3]

Hamill, S. K. (2003). Resilience and self-efficacy: the importance of efficacy beliefs and coping mechanisms in resilient adolescents. Colgate Univ. J. Sci. 35, 115–146.

[4]

アラン (1998) 『幸福論』岩波文庫 「93 誓わねばならない」より.

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